東京発・サステナブルなシューズブランド“VEGE”
Buy TOKYO推進活動支援事業で
国内ショップを拡大し、海外進出に王手!
株式会社fishoe
代表取締役 上原芳恵氏
2020年にデビューしたブランド、サステナブルシューズ“VEGE”は台東区に事務所を構えるfishoeが生み出しました。
fishoeの目指すところは「お客様が心から喜んでくれる靴を作り、サステナブルな取り組みで靴業界に新時代をもたらす」ことです。社長の上原芳恵さんは2014年に31歳で会社を立ち上げ、2019年まではOEM、ODMで靴製造を行ってきました。
「近年のファッション業界は、大量生産して価格の低さで勝負する傾向にあります。その分、似たようなデザインになりがちで廃棄も多い。だからこそ、量産品にはないデザインを小ロットで生産し、廃棄が出ないシューズブランドをつくりたかった。中間業者を通さないため、デザイン性が高く手頃な靴をつくれるという強みもありました」
しかし、デビュー直後から新型コロナウイルスが猛威を振るい、「誰も展示会に来なかった」ほどの打撃を受けました。そんな困難な時期に知人から教えてもらったのが、Buy TOKYO推進活動支援事業でした。
「わたしたちのような小さな企業は、利益よりもものづくりや新たなチャレンジを大切にできるという利点があります。しかし、自社ブランドの認知度を高め、継続していくためには多大な費用がかかります。『Buy TOKYO推進活動支援事業なら、この問題をサポートしてくれる!』と感じ、ダメ元で応募しました」
経費補助でポップアップショップを拡充。
認知度アップに加え、百貨店への長期出店も決定!!
2022年にサステナブルシューズ“VEGE”がBuy TOKYO推進活動支援事業に採択されたことをきっかけに、ポップアップショップの拡充に注力しました。百貨店からは「うちで開催を」という声がありましたが、「人件費や商品輸送費などで2週間行うと50万円もかかるため、投資するには勇気が必要でした」と経済的負担が悩ましかったそうです。「経費補助を活用することで、2022年は各地で10回ほどポップアップを開くことができ、それをきっかけに横浜そごうや某大手百貨店から長期出店のお誘いがありました」
Buy TOKYO推進活動支援事業を通して雑誌掲載や芸能人の着用が増えたことも、ブランドの成長に大きく貢献しました。
「Buy TOKYOではPRイベントも実施しています。有名プレスルームに商品を置くにあたって、審査が厳しいですが、審査を通過しても費用面が高く難しいところがあるので、Buy TOKYOの支援は大変有難かったです」
ブランドスタート時から「120%の力で靴づくりをしています。信じて続けていれば、必ず見つけてくれる人がいるから」と語る上原さん。Buy TOKYO推進活動支援事業に採択されてからは、共感してくれる人々と繋がる速度が急激にアップしたと言えそうです。
ビジュアルマーチャンダイジングのハンズオン支援で、
前月比150%の売り上げを達成!
出店にあたってはハンズオン支援を活用し、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の専門家からアドバイスを受けることにしました。VMDとは、ブランド特徴を伝えられるショップづくりや陳列方法など、視覚的な手法による販売促進のことです。売り場を訪れた専門家からは、サステナブルを大きく打ち出すこと、お客様の動線のつくり方、人気商品・定番商品のレイアウト方法などの提案があったそうです。「接客を受けないお客様にもサステナブルシューズ“VEGE”の世界観や着用イメージが伝わるよう、ポップをつくったり商品掲載雑誌を置いたりしました。試着用の椅子の配置も変え、隣接するショップを意識した陳列なども行いました」
結果、横浜そごうではレイアウト変更直後から試着が増え、VMD実施後の1ヶ月で前月比150%の売り上げを達成!
「わたしは商品への思い入れの大きさで陳列してしまうのですが、第三者の視点は全然違うんですよね。販売員のみんなも熱心に聞いていたし、外部からの風が吹き込むってすごくプラスになると実感しました」
また、ハンズオン支援は優秀な専門家とコネクションができるのもメリットで、上原さんも「支援終了後は、専門家と直接契約ができるので、VMDの方には末長くお世話になりたい」と考えているそうです。
「現在、事務所となっている古民家の1階を“VEGE”旗艦店にすべく、改装工事を進めています。完成したら、そちらのVMDもお願いする予定。百貨店への出店も10店まで広げたいので、販売員との連携方法についても相談するつもりです」
サステナブル、ジェンダーレス、TOKYOブランド。
“新たな時代のものづくり”を進めていきたい!!
2023年11月現在まで、小ロット生産により廃棄ゼロを達成している“VEGE”では、ほかにも使い捨てのショッパーの代わりにエコバッグをプレゼントしたり、廃棄される革を使ったスペシャルエディションを販売したりと、多方面からサステナブルな取り組みを実施しています。今後も、ジェンダーレスなシューズを手がけるなど、新たな時代に合わせた発信を続けていく予定です。そして、かねてからの野望である海外進出に向けても準備をはじめているとのこと。
「ハンズオン支援は月1回ほど受けることができます。VMDが落ち着いたので、来月からは海外事情に詳しい専門家の方を手配していただきました。自分の思いを大切にしながら、専門家のアドバイスを有効活用していきたいです」
「やりたいことがあり過ぎる」と笑う上原さん、「東京の靴業界には歴史と伝統がある。でも、縛られずイレギュラーなことに挑みたい」と考えているそうです。靴づくりの街といえば浅草が有名ですが、fishoeの所在地である浅草橋は浅草から少し離れています。ここにも上原さんの思いが込められているようです。
「浅草橋は、御徒町から蔵前までの通称“カチクラ”と呼ばれる地域にあります。カチクラには、古くからの職人の街でありつつも面白いことをやろうという若い人が集まっている。その空気のなかで、“新たな東京のものづくり”をしていきたいなと思います。大谷翔平選手がWBCで『憧れてしまっては超えられない』と言っていたでしょう? だからわたしも夢を見るのではなく突き進むことで、サステナブルシューズ“VEGE”を今までにないブランドとして海外販売も視野に入れて広めていきたいと思っています」
URL : https://www.vege-official.com/
株式会社 fishoe / 上原 芳恵
〒111-0053 東京都台東区浅草橋2丁目12−8
TEL : 03‐5829‐6249 FAX番号 : 03‐5829‐6259