ジェイグラブ株式会社
代表取締役 山田彰彦氏
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イオンモール(カンボジア)ミエンチェイにて
2010年に創業したジェイグラブ株式会社の山田彰彦社長は、経済産業省、JETRO(日本貿易振興機構)や中小企業基盤整備機構などで越境EC専門家としてECサイト構築支援やコンサルティングに従事。アメリカのオークションサイトeBay(イーベイ)が1999年に設立した日本法人社員第1号で、その後、ヤフー株式会社オークション事業の立ち上げにも関わり、まさにEC黎明期からインターネット販売に携わってきました。
ECサイトの構築・改修や効果的な広告、さらにSNS等を活用した流入経路拡大策など多岐に及ぶ知見を活かし、多くの成果をあげてきた山田さんは、ECサイトの立ち上げについてこのように語ります。
「CVR率とも呼ばれるコンバージョン(購入)率(*注1)について、成功しているECサイトでも1~3%程度で、越境ECとなるとさらにハードルが上がります。立ち上げ期のECサイトの現実は非常に厳しいもので、まずは千に一つ、つまり0.1%達成を目指しましょう!とアドバイスをしています。」
そんな厳しさを知る山田さんが、2022年春に自社運営の越境ECモール 「j-Grab Mall (ジェイグラブモール)」サイトを立ち上げました。 2021年に東京都の「海外向けECモールモデル構築事業補助金」にジェイグラブが採択されたことで背中を押されたと言います。
*注1:コンバージョン(購入)率 Conversion Rate CVR=CV数(購入数)÷ UU数(サイトアクセス者数)×100
越境ECモール「j-Grab Mall」1つの登録で
15以上の海外主要ECモールやソーシャルコマースメディアに自動連携
ジェイグラブが運営する「j-Grab Mall」は多言語対応が苦手だが海外ECモールや越境ECサイトで自社商品を販売したい、プロモーションや物流もできればプロに委託したい、経費も人手もあまり掛けられない、という多くの事業者の悩みを解決できる越境ECモールとして開発されました。
「日本の事業者にとって、有力な海外主要ECモール(eBay、Amazon、Shopeeなど)経由でインターネット販売する最大のハードルは、外国語での契約締結、ECモールの自社店舗開設、商品カタログの作成・登録をすること、そして海外向けの物流(商品発送)です。それぞれのECモールごとに登録手法やルール、ポリシーなども違い、登録しただけでは、簡単には売れてはいきません。それぞれに販促プロモーションを実施する必要があります。」
「j-Grab Mall」に登録された商品は、独自で海外販売サイトや海外ECモールに出店することなく委託販売型で、⼿軽に海外向け販売(越境EC販売)をスタートすることができ、テストマーケティングも可能です。
具体的には、eBay、Amazon、Shopee、Walmart、AEONのECモールなどと連携できるシステムを導入できたことで、実に世界200か国数億⼈(*注2)にリーチが可能となりました。その連携先は今後も増やしていく予定とのこと。
「販促プロモーションも自社SNS(Instagram、Facebook、Pinterest、WeChat、REDなど) で商品情報などを発信することで世界のアクティブユーザー(海外消費者)に直接リーチすることができます。事実、ジェイグラブが自社運営しているFacebook「Japan Craze」サイトのフォロワーは約170万名にも及び、毎日、新情報を多言語で発信しています。発信内容も日本の季節情報やトレンド商品情報など販売者目線に偏らないように、消費者が欲している情報をタイムリーに提供するようPDCAを回しながらCVR向上につなげています。今後は、メルマガ会員の増加も図りながら、上位客の囲い込み施策にも力を入れていくつもりです。」
さらに「j-Grab Mall」では、海外物流においてもジェイグラブ契約の国内指定倉庫で商品をお預かりし、発送業務もジェイグラブで請け負い、複雑な輸出⼿続きなど⼀切不要かつ円建てで取引完了というスキーム(フルフィルメントサービス)を提供しています。
*注2: eBay:世界200か国 約1.7億人アクティブユーザー(eBay日本公式サイトより)
Amazon:20か国 約2億人(2020年Amazonプライム会員数)
シンガポールとカンボジアでショールームストアがオープン
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イオンモール ミエンチェイ 常設ショールームにて
「j-Grab Mall」のその他の特徴は、運営パートナーである大手旅行社JTBが持っている多くの海外拠点と海外進出に積極的なAEONを活用したショールームストアと越境ECサイトが連動したオムニチャンネル型販売サービスです。
「j-Grab Mall」運営パートナーであるJTBは世界36ヶ国82都市194の海外店舗(*注3)を持っている国内最大手旅行会社です。海外店舗におけるリアル(販売や現物展示)に協力いただき、越境ECサイト「j-Grab Mall」と連動させることで “オンライン X リアル”の『オムニチャネル型 越境EC 委託販売サービス』が実現しました。
また、ASEANを中心に大型ショッピングセンター型の出店を続けているイオンモールでの常設のショールームストアの展開も図っています。ショールームストアでは、通常サンプル品とQRコードを展示。ゲストはそのQRコードから商品情報サイトやECサイトへ飛ぶことで、商品情報を入手したり購入したりすることができるのです。
「オンライン×リアルは、オムニチャネルと呼ばれていますが、このように両者の良いところを融合し、実店舗で商品の情報を確認してからオンライショップで商品を購入するような販売手法として、世界中で注目されているのがショールーミングです。出店者(メーカーなど)にとっては、現地向けにサンプルを提供するだけで売上を伸ばすことができ、何よりも在庫を日本側に置いたままですから在庫管理もしやすく、ロスなど最小限に抑えることができるのです。購入者にとってはECサイトの画像だけでなく、現物をチェックして納得の上で購入できるのがメリットです。」
*注3:JTB海外ネットワーク数はJTB公式サイトより引用
2022年6月シンガポール高島屋店内のJTB店舗にて
「j-Grab Mall」のポップアップショールームストアを展開
同年12月からはイオンモール(カンボジア)ミエンチェイ店内に常設のショールームストアを開店しました。江戸切子や今治タオルなどの伝統工芸品や日本的な衣料品をはじめ富士山モチーフの生活雑貨などの商品の展示&越境EC販売を開始。ミエンチェイ店はまだ先行オープンで開店していた店舗は半分以下でしたが、初日には数万人を超えるお客様が来店しました。
「ショールーミングに馴染みのないお客様もいるため、まだ売上好調とまでは言えませんが、徐々に認知度は上がっています。今後、人気食品などの展開アイテム数を増やし、さらにショールーミングに馴染んでもらうことで、軌道に乗せられるようさらに尽力していきます。」
山田さんは今後の事業展開について、是非多くの事業者様に「J-Grab Mall」に参加していただきたいと語ります。
「ショールーミングの出店を今後色々な国で展開していきます。「J-Grab Mall」の展開アイテムもまだ多くはありませんので、世界で販売してみたい商品をお持ちの事業者様に参加いただき、一緒に販売・成長していきましょう。」
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シンガポール高島屋店内のJTB店舗におけるショールーミングストアのポップアップの様子