株式会社 divka
代表取締役 田中 崇順氏/常務取締役 松本志行氏
海外の展示会は、1回で成果を出すのが難しい。
Buy TOKYO推進プロジェクトの“2年間の支援”に可能性を感じた
田中崇順さんがデザイナー、松本志行さんがモデリストを務める「divka(ディウカ)」は、2011年にスタートしたファションブランド。翌2012年には、早くも世界に向けてコレクションを発信。立ち上げ直後から海外に進出した理由を伺うと……。「divkaのようなモードな服は、国内で取り扱う店が少ない。海外にマーケットの可能性を感じたんです」
そんな田中さんの読みどおり、2012年には国際的なコンペティションでファイナリストに選出され、パリ・上海などの展示会にたびたび出展することとなりました。
国内外で高い評価を受ける中、田中さんに芽生えたのは「アメリカ進出」という目標です。
「パリで出会ったアメリカ人バイヤーに、アメリカは州ごとに都市があり、都市それぞれにハイエンドな店があると教わって。ならば、我々にとって大きなマーケットになり得る。次に目指すは、ニューヨークの展示会だと思いました」
ちょうどその頃、人づてに知ったのがBuy TOKYO推進プロジェクト。応募の決め手となったのは、支援期間が2年間であることでした。
「ニューヨークの展示会は年2回ありますが、初回の出展で成果を出すのは難しい。1回目がよくても、2回目3回目を見て、ブランドを深く理解してから購入するというバイヤーが多いんです。なので、2年間継続してサポートしてもらえるのは、うちにぴったりの制度だなと感じました」
経費の補助によりニューヨーク進出、ルックブック制作……と多くのビジョンを実現
divkaがBuy TOKYO推進プロジェクトを活用したのは、東京手描友禅の伝統工芸士である小倉隆さんとコラボレーションライン。手描友禅で描かれた柄をプリントした生地で仕立てた衣服です。支援が決まると、田中さんと松本さんはさっそく経費補助を活用。divka×小倉隆の作品を手にニューヨークの展示会へ向かいました。
「行ってみたら、想像以上に、向こうのニーズにブランドがハマって。初回の出展で早くも10件、2回目の出展では、さらに20件の新規取引先が決まりました」
また、ほかにも様々な用途で経費補助を活用しています。
「今回、お店を持つなどの莫大な資金が必要だったわけではないので、細かく多様なことに使うことにしたんです。『こんなに色んなことができるんだ!』というのが、率直な感想ですね」
例えば、ルックブック(カタログ)の制作を行う際は、経費補助が大きな支えとなりました。
「ルックブック制作は、フォトグラファーにモデル、ヘアメイクに撮影スタジオ……と、かなり費用がかさむ。それでも作りたかったのは、ファッションは人が着てこそ伝わるものがあるからなんです」
ウェブサイトにインスタグラム。
ハンズオン支援では、ウェブマーケティングのアドバイスを依頼
ニューヨーク進出にあたっては、自らの知識と経験から、出展する展示会に目星をつけていた田中さん。しかし、専門外であるウェブマーケティングの高度な知識は有していなかったそう。ハンズオン支援では、この分野をメインにアドバイスを受けることにしました。
「支援開始時は、ちょうどブランドのウェブサイトを作り変えた直後。Googleの検索で上位に持ってくるための方法などが知りたかったんです。ウェブマーケティングの専門家であるアドバイザーに、わかりやすく指導してもらえました」
サイトに加え、インスタグラムの活用方法も助言を仰いだそう。
「現在、ファッション業界で重要なSNSとなっているのがインスタ。実際、イベント開催時も、ここでの告知が効果をあげています」
インスタ上で広告を展開し、出告後に結果を検証して、改善策を考えて……という「プロだからこその手法が新鮮だった」と田中さん。
「アドバイザーに月に1回会うことで、それまで自分たちだけではやってこなかったウェブマーケティングの手法を、色々と吸収できました」
一番の成果は、アメリカという巨大なマーケットの開拓!
田中さんによれば「現在、国内のファッション業界は苦しい状況」。そんな中、Buy TOKYO推進プロジェクトと通して出会ったアメリカという巨大なマーケットは、divkaにとって大きな希望となっています。
「ニューヨークの展示会は、現在、我々が唯一希望を抱いている展示会といっても過言ではありません。でも、このマーケットがいつまで継続するかはわからない。今後も、チャンスがある場所にはどんどん出ていきたい。世界各地で勝負していきたいと思っています」